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生前贈与はすべき?


そもそも贈与には、主に生前贈与と死因贈与があります。
生前贈与とは、生きているうちに行う贈与のことで、一般的に贈与と言えばこちらを指します。

死因贈与とは、贈与者が死亡したときに効力が生じる贈与のことで、法定相続人であるかを問わず自分の遺産を分け与えることが可能です。遺言とはもらう側の意思の要否・書面作成の要否等の点で厳密には異なりますが、似たようなものです。
ただし、いずれの贈与も、贈与する人(あげる人)と贈与を受ける人(もらう人)の双方の意思(合意)が必要です。要するに、あげる人が一方的に贈与するよ!と言っても、もらう人が承諾しない場合には、贈与は成立しません。

さて、今日は両者のうち、生前贈与をすべきかの判断ポイントや注意点などについて紹介します。なお、生前贈与には贈与契約書を作成すべきと言われます。それは次回のブログでお話ししますので、そちらを参照してください。




生前贈与をすべきかどうかの判断ポイント

生前贈与をすべきかどうかの判断ポイントは、主に次の2つがあります。


〇税金の負担の大きさ
〇勝実に渡しておくべき財産の存在


ここではこの2つのポイントについて詳しく解説していきます。


・税金の負担の大きさ

生前贈与をすると、税金の負担がかかることがあります。
家や土地、現金、自動車、貴金属など様々な財産を生前贈与すれば「贈与税」が、死因贈与も含め、死亡後に相続させると「相続税」がかかります。



いずれの方法にしても、財産を譲る場合には税金がかかることになりますが、贈与税と相続税では税率が異なること等により、その贈与や相続の方法や財産価額により税の負担額が異なります。
将来相続するときの財産価額全体が大きい場合には、贈与税を支払ってでも贈与したほうが良い場合もあります。
様々なケースによって税の負担額が変わるため、相続と贈与の方法や財産価額をしっかり把握し、生前贈与すべきかを検討する必要があります。


・確実に渡しておくべき財産の存在

特定の人に確実に渡しておきたい財産がある場合、特に法定相続人とならない人に渡したい場合は、生前贈与を検討しましょう。
遺言書によって特定の人に特定の財産を渡すことも可能ですが、希望通りに財産が分配されたかは故人には確認できません。
また、法定相続分や相続人同士の話し合いが円滑に進まないことも起こり得ます。
一方、生前贈与であれば、自分で贈与したい相手と直接やり取りをすることで、確実に財産を贈与することができるのです。



生前贈与をしておくといい3つのケース

ここからは、生前贈与で節税効果が期待できるケースを、具体例を挙げながら解説していきます。


・1.贈与税の負担なく財産を渡せるとき

①まず、渡したい財産が110万円以下の場合には、生前贈与で節税効果が期待できます。
 すなわち、贈与税には110万円の基礎控除額があるため、贈与したい財産が110万円以下の場合には、税金がかからないのです。



上記の場合だと、2022年度は贈与税がかからず、2023年度は110万円を超える部分について贈与税がかかることになります。

②また、贈与税には、以下のような非課税の特例が設けられています。

〇夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に当てるために取得した財産で、通常必要と認められるもの
〇住宅取得等資金の贈与
〇教育資金の一括贈与 など

これらを考慮したうえで、保有する財産を誰に渡したいか、その想いをまず大切にし、その上で、贈与税額を考えながら、生前贈与すべきか否かを検討するのが良いでしょう。


・2. 今後財産の価値が上がることが予想できるとき

期間を置くことで価値が上がる財産は、生前贈与で節税効果が見込めるケースがあります。
贈与税も相続税も、受け取ってもらう財産の価額に比例します。
今後、価値が上がることが予想できる金・プラチナといった貴金属や投資・株式などは、生前贈与を検討する価値があるでしょう。
ただし、この場合には、相続時精算課税制度を利用することも考えられますが、ここでは、この制度の説明は割愛します。


・3.相続で揉める可能性があるとき

相続の際、遺産分割において揉める可能性があるときは、生前贈与として先に分配しておくことでトラブルを回避しやすくなります。
遺言書を作成し取得する人を指定することもできますが、その内容に納得できない場合、相続人間の関係が悪くなってしまうこともあります。
また、遺産相続の手続きには期限があるため、あまりじっくり話し合いをする時間も取れない場合もあります。
生前贈与であれば、当事者でじっくり話し合う時間を取ることも可能ですし、納得できる落としどころを見つけやすくもなります。
もちろん、これだけですべてのトラブルが回避できるわけではありませんが、突然遺産相続の協議を求められる場合よりは揉め事は起こりにくくなります。
相続で揉めないように、ある程度手を打っておきたいと考える財産があるなら、生前贈与を検討すると良いでしょう。



生前贈与をする場合の4つの注意点

生前贈与をする場合、気を付けたいポイントが4つあります。



・判断能力が十分なうちに贈与する

先にも記載したとおり、生前贈与は、贈与する人と贈与を受ける人の双方が合意していなければ成り立ちません。
そのため、軽い認知症であれば生前贈与が認められますが、意思能力がないと判断される進行度だと生前贈与ができなくなります。
認知症と診断された後に生前贈与をする場合は、医師の診察を受けて意思能力があるとする診断書を作成してもらい、その後速やかに生前贈与の手続きを行いましょう。


・ 贈与した証拠を残しておく

生前贈与をしたという証拠を残しておかなければ、相続税の対象とされることがあります。
 現金贈与であれば銀行振込にして、贈与契約書を作成するなどの対策が有効です。この点については、次回のブログでお話しします。


・名義預金とならないようにする

親が子名義の預金を管理している場合がこれに当たります。
税務調査では、相続人の預金も調べられるため、たとえ家族名義の口座であっても故人が実質的な所有者と認められると相続税が課せられます。
名義預金による追徴課税となるケースも多いため、財産は早めに把握し適切に生前贈与しておきましょう。


・相続直前の贈与は節税効果が制限される

生前贈与加算に関する税制改正により、2024年1月1日以降の生前贈与については、相続開始前7年以内の贈与財産は原則相続税の計算に含まれるようになりました。



相続開始前3年以内はすべて加算、4~7年以内に行われた生前贈与は、その総額から100万円を差し引いた金額が加算されます。



生前贈与の節税効果が減少する可能性があるため、財産を把握し生前贈与をすると決めた場合は早めに対策をしておきましょう。



まとめ

今回は、生前贈与について実例を交えてご紹介しました。
生前贈与は節税効果も期待できるため、多くの方が関心を持っていることでしょう。
せっかくの財産を目減りさせることなく、子どもや孫に引き継ぎたい場合には非常に有効な手段です。
しかし、タイミングや状況によっては相続税の方が適していることもあります。
判断が難しい場合は、専門家に相談することも検討してみてください。 

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