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過去の贈与も相続税の対象!法改正も踏まえた生前贈与加算のルールを紹介


相続税は基本的に取得した遺産に対して課されるものです。しかし、相続が始まる前に受け取った贈与財産に対しても相続税が課されることがあります。

これは「生前贈与加算」と呼ばれ、相続税の計算をするとき、そして生前贈与による節税効果を狙うときには知っておきたい仕組みです。法改正によって適用期間も変わっていますし、ここで最新のルールを確認しておきましょう。


生前贈与加算について

相続が始まってから受け取った財産に課税されるのは「相続税」、相続前に本人から贈与された財産に課税されるのは「贈与税」です。

これが基本のルールなのですが、例外的に、贈与によって受け取った財産に対しても相続税が課税されることがあります。

相続が開始される前一定期間に贈与されたことを理由に、贈与財産を相続財産に加えて相続税を計算する「生前贈与加算」がその1つです。


図1:生前贈与加算のイメージ


生前贈与は相続税の節税対策として有効ですが、この生前贈与加算が行われることによって効果が薄れてしまうケースもあります。



相続財産への加算が必要な方とは

生前贈与加算が適用されるのは、遺産を取得した方です。

「一定期間内の生前贈与+遺産」を受けている方だと、生前贈与加算をしなければなりません。

そこで、相続に関与しない友人などが生前贈与を受けていても相続税について考える必要はありません。

その友人が遺言書の記載に従って遺産を取得したのなら過去の贈与も含めて相続税の計算が必要ですが、そうでないのなら生前贈与加算は行われません。




法改正で適用期間が変わった

2023年の税制改正を受け、生前贈与加算のルールが変更されました。

変わったのはこのルールが適用される期間です。

これまでは「死亡の日から遡って3年前の日~死亡の日まで」が適用期間(下図2)とされていましたが、改正後は「死亡の日から遡って7年前の日~死亡の日まで」が適用期間(下図3)となりました。


図2:改正前の適用期間




図3:改正後の適用期間

※法改正によって延長された「相続前4~7年」までの分に関しては、贈与財産の合計から100万円を控除する。


ただし、この新しいルールの対象は、2024年1月1日以後に行われた贈与です。 3年間とされていた加算対象期間をいきないり7年間とするのは影響が大きすぎることから、2024年~2030年の7年間は移行期間とし、加算期間を段階的に延長する措置が取られています。そこで、相続開始のタイミングに対応した加算対象となる贈与は、次のようにまとめることができます。





生前贈与加算の例

延長された新しい期間の適用を受けるのは2024年以降の贈与ですので、2024年時点だと実質変化はありません。大きな変化が表れるのはそこから3年後の2027年以降です。

どのように変化するのか、具体例で紹介します。

《 例1:2026年1月1日に相続が開始した 》
過去に行われた贈与は下記の通りとする。


① 2025年の贈与:150万円
② 2024年の贈与:140万円
③ 2023年の贈与:130万円
④ 2022年の贈与:120万円
⑤ 2021年の贈与:110万円


生前贈与加算されるのは①②③までの420万円(=150万円+140万円+130万円)。

すでに改正法は施行されているが、2023年以前の贈与は新ルールの適用対象外であり、従前の「相続開始前3年以内」で計算する。


《 例2:2028年1月1日に相続が開始した場合 》
過去に行われた贈与は下記の通りとする。


① 2027年の贈与:170万円
② 2026年の贈与:160万円
③ 2025年の贈与:150万円
④ 2024年の贈与:140万円
⑤ 2023年の贈与:130万円


生前贈与加算されるのは①②③④までであるが、延長された前4~7年についてはその合計額から100万円を控除する。そのため加算額は前3年分の480万円(=170万円+160万円+150万円)と、2024年分の40万円(=140万円-控除額100万円)も加算し、520万円となる。


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